現職自衛官の母親である平和子さんが原告の「自衛隊南ス-ダン国連PKO派遣差止訴訟」において、自衛官や家族の損害の主張立証の1つとして、陸上自衛隊の北部方面隊の自殺者数の情報開示請求をしたところ、陸上自衛隊が毎年「自殺者一覧表」を作成していることが分かりました。
しかし、開示書面は真っ黒塗りであり、その裏側に見えたものは、全国的な自殺者数だけは仕方なく教えるが、北部方面隊(北海道の自衛隊)の自殺者数をはじめ、自殺者に関する情報については一切教えないという、徹底した秘密主義でした。「自殺者一覧表」の左端の数字を追うことで、かろうじて全国の自死者数を推察できるだけで、実質的に何も明らかにしていません。
しかも、これを、プライバシ-保護を目的とする「特定個人の識別(の可能性)」を唯一の理由にしています。
これに対して、私も弁護団も、慄然たる思いをもちました。安保関連法の下の自衛隊は、ここまで秘密主義を徹底するようになったのかと。
そこで、本訴訟の提起を決断しました。たまたま開示請求者となった私が原告となりましたが、実質的には「自衛隊南ス-ダン国連PKO派遣差止訴訟」弁護団の取り組みです。ともにご支援をよろしくお願い致します。
弁護士 佐藤博文
※開示された「自殺者一覧表」(一部)。本訴訟では甲3号証として提出。
※国は、判決確定から1年3ヶ月を経てやっと開示通知を出した。
※最初の開示内容とほとんど変わらず。自衛官の自殺の実態は判らないままである。